作業スペース:机を窓に向けるか、壁に向けるか
作業スペースに要る床は、机の奥行きに、椅子を引いて座るための75cmを足した1本の帯です。
書斎のレイアウトが他の部屋と違うのは、部屋が机のために設計されていないことです。寝室にも居間にも和室にも、すでに主役の家具があり、机はそのあとに入ります。だから机の寸法そのものより、机が要求する帯を、残った床のどこに横向きに置けるかが問題になります。部屋別のレイアウトで最初に決めるものが、この部屋だけは2番目に決まります。
作業部屋で最初に決めるもの
机が占める床は、天板の奥行きだけでは足りません。椅子を引いて座るために、天板の縁から75cmが要ります。その背後を人が通るなら、さらに60cmです。
| 机の奥行き | 座るために必要な帯 | 背後を人が通る場合 |
|---|---|---|
| 45 cm | 1.20 m | 1.80 m |
| 50 cm | 1.25 m | 1.85 m |
| 60 cm | 1.35 m | 1.95 m |
| 70 cm | 1.45 m | 2.05 m |
| 80 cm | 1.55 m | 2.15 m |
幅の方向には制約がほとんどありません。机は壁の長さの範囲で好きな幅を取れます。成立するかどうかを決めるのは、いつも奥行き方向のこの帯です。
作業部屋のレイアウト:何をどこに置くか
江戸間で計算すると、部屋の畳数ごとに残る床は次のようになります。奥行き60cmの机を短辺の壁に付け、帯1.35mを引いた場合の残りです。
| 畳数 | 江戸間の実寸 | 面積 | 帯1.35mを引いた残り |
|---|---|---|---|
| 1畳 | 0.88 × 1.76 m | 1.55 m² | 0.41 m |
| 2畳 | 1.76 × 1.76 m | 3.10 m² | 0.41 m |
| 3畳 | 1.76 × 2.64 m | 4.65 m² | 1.29 m |
| 4畳 | 1.76 × 3.52 m | 6.20 m² | 2.17 m |
| 4.5畳 | 2.64 × 2.64 m | 6.97 m² | 1.29 m |
| 6畳 | 2.64 × 3.52 m | 9.29 m² | 2.17 m |
| 8畳 | 3.52 × 3.52 m | 12.39 m² | 2.17 m |
2畳の書斎で残るのは0.41mです。1人が通る60cmに届かないため、机の背後は通れません。扉が机の横に来る配置でなければ成立しない部屋で、これは面積ではなく帯の問題です。3畳と4.5畳では1.29mが残り、通路60cmと奥行き69cmの棚に分けられます。正方形の4.5畳と縦長の3畳は、残る寸法が同じで、残る形だけが違います。
机を窓に向けるか、壁に向けるか
机の向きは、窓台の出幅と背後の通路のどちらを優先するかで決まります。窓に向けると、天板の奥行きが窓台の出幅に制限され、窓の開閉が天板の上を通ることになります。壁に向けると天板の奥行きは自由になり、代わりに背後の帯を60cm確保する必要が出ます。
- 窓に向ける。顔に光が当たり、背後には壁ではなく部屋全体が入ります。
- 壁に向ける。背後は部屋側になり、天板の奥行きは壁の前で自由に取れます。
- 窓を背にする。カメラは窓を正面に見るため、逆光になります。
- 部屋の角に置く。2面の壁を使い、背後の帯を1方向だけにできます。
テレワークで画面を長時間見る場合、背後に何が映るかは机の向きだけで決まります。壁に向けた机の背後には部屋が入り、窓に向けた机の背後には壁が入ります。
作業部屋に置く家具と、その寸法
江戸間6畳の寝室に机を足す場合、ベッドの向きで答えが変わります。セミダブル120cmの頭を短辺2.64mの壁に付けると、横に1.44m、足元に1.57mが残ります。足元側の壁に奥行き60cmの机を付ければ帯は1.35mで、ベッドの足元との間に0.22mが残ります。扉から机までの通路は、ベッドの横に残った1.44mが引き受けます。
江戸間8畳の寝室なら3.52 × 3.52mで、キング180cmを置いても横に1.72m、足元に1.57mが残り、同じ組み合わせがさらに余裕をもって入ります。逆に、6畳で頭を長辺に付けると足元は0.69mしか残らず、机はベッドの横に置くしかありません。寝室のレイアウトでベッドの向きを決めるとき、机を置く予定があるなら、その時点で決まってしまいます。
作業部屋の通路幅と動線
作業部屋の通路は、机の帯の外側に取ります。天板の縁から75cmが椅子を引いて座るための寸法で、その背後を1人が通るならさらに60cm、椅子に人が座ったまま後ろをまっすぐ歩くなら90cmです。同じ部屋を家族が通り抜ける場合、下限は60cmではなく90cmになります。
動線は、扉から机までを1本にまとめます。扉が机の背後側にあると、人が出入りするたびに椅子の後ろを通ることになり、90cmの帯が常に要ります。扉が机の横に来る配置なら背後の帯は60cmで足り、机の帯1.35mと合わせて1.95mです。奥行き60cmの机で、江戸間4畳の長辺3.52mに収まります。
作業部屋がキッチンと隣り合うとき
独立した作業部屋がキッチンと隣り合う間取りは多くありません。実際に起きるのは、ワンルームや1LDKで、机とキッチンが1つの床を分け合う場合です。
重なるのは2つの帯で、椅子を引くための75cmと、調理する人が立つ60cmから90cmです。江戸間6畳の短辺2.64mに奥行き60cmの机を壁付けにして帯1.35mを取ると、残りは1.29mになります。ここにキッチンの前の90cmを通せば39cmしか残らず、1人が通る60cmにも届きません。机をキッチンの正面ではなく、その帯と直角になる壁に付ければ、2つの帯が交わるのは1か所だけになります。
作業部屋でよくある失敗
作業部屋でいちばん多い失敗は、机を置く場所を探す前に、いま部屋にある収納の内寸を測っていないことです。
書斎の収納で最初に見るのは、部屋にある押入れです。押入れは間口が半間で約91cm、有効奥行きが75〜80cm、中段の下は高さ70〜80cm、上は90〜100cmです。この3つの寸法は、机1台と本棚1本が入る範囲に重なります。押入れがある部屋なら、床に棚を足す前にここが使えるかを確かめます。
クローゼットの場合は有効奥行きが60cm強しかなく、書類や機材を奥行き方向に重ねると手前が取り出せなくなります。扉の前には開くための90cmが要り、その床に椅子の背が入ると扉が止まります。1畳の作業スペースを探すより、いまある収納の内寸を測るほうが先です。同じ6畳でも規格によって部屋の実寸が変わるため、畳数の表記だけで判断せず、壁から壁まで測ってから帯を当てはめます。