家具のサイズ:レイアウトを決める前に要る数字
家具のサイズは幅(W)、奥行き(D)、高さ(H)の3つで表記され、部屋に入るかどうかを決めるのは奥行きです。江戸間の6畳は2.64m × 3.52m、短辺は264cmしかありません。向かい合う壁に置いた家具の奥行きを両方引いて、残りが60cmを切れば、そこは人が通れない床になります。
サイズ表記のW・D・H・SHが指すもの
サイズ表記のWは幅、Dは奥行き、Hは高さで、アルファベット3文字と半角の数字、単位はcmで書かれます。「W150 × D80 × H70」なら、幅150cm、奥行き80cm、高さ70cmです。ソファと椅子にはSH(座面の高さ)が加わり、ダイニングテーブルと椅子の高さを合わせるときに使われます。
この表記を部屋に持ち込むときに、ずれが2か所で起きます。1つは、記載寸法が本体の最大外形とは限らないこと。取っ手の出っ張り、脚の張り出し、背もたれの傾きは、別に測らないと数字に出てきません。もう1つは、置き場所の寸法と搬入経路の寸法が別物であること。玄関の開口、廊下の幅、階段の折り返しは、置き場所の寸法とは無関係に効きます。サイズオーダーやサイズから探す検索が意味を持つのは、置き場所の寸法を先に確定させたあとです。
奥行きの一覧:床を食うのは幅ではなく奥行き
奥行きが床を食うのは、部屋の短辺が奥行きの方向だからです。江戸間6畳の長辺は352cm、短辺は264cm。幅は長辺に沿って伸びるので352cmまで使えますが、奥行きは短辺の264cmから直接引かれ、しかも向かいの壁に置いたものと足し算になります。同じ10cmでも、幅の10cmは何も起こさず、奥行きの10cmは通路から10cmを奪います。
| 置くもの | 奥行き | 江戸間6畳の短辺264cmから引いた残り |
|---|---|---|
| ダイニングで座る人1人分の占有 | 40cm | 224cm |
| クローゼットの有効奥行き | 60cm強 | 約204cm |
| 押入れの有効奥行き | 75〜80cm | 184〜189cm |
| ソファ(二人掛け) | 80cmから | 184cm以下 |
| セミダブルのベッドを長辺に沿って置いた幅 | 120cm | 144cm |
| ダブルのベッドを長辺に沿って置いた幅 | 140cm | 124cm |
| ベッドの長さ方向 | 約195cm | 69cm |
江戸間の6畳と4.5畳(2.64m × 2.64m)は、短辺がどちらも264cmで同じです。奥行きの計算はこの2部屋で変わらず、違うのは長辺の88cmだけになります。江戸間の8畳(3.52m × 3.52m)と10畳(3.52m × 4.40m)は短辺が352cmです。
ここから部屋ごとに1つの数字が出ます。江戸間の6畳と4.5畳では、向かい合う壁に置く家具の奥行きの合計は204cmまで。二人がすれ違う90cmを残すなら174cmまでです。8畳と10畳では292cmまで、90cmを残すなら262cmまでになります。1台ずつの寸法ではなく、この合計だけを覚えておけば、家具を入れ替えるたびに測り直さずに済みます。
高さ(H)は床を食いませんが、収まるかどうかは同じ引き算です。押入れの中段は、下の空きが70〜80cm、上の空きが90〜100cm。ここに入れる収納は、奥行きが押入れの有効寸法75〜80cm、高さがこの2つの数字に挟まれます。クローゼットの有効奥行きは60cm強で、洋服をハンガーで掛けるための寸法です。同じ収納でも、押入れとクローゼットでは入るものの奥行きが15cmから20cm違い、押入れ用の引き出しはクローゼットに入っても、逆は前が余ります。
種類ごとの寸法を決めているもの
種類ごとの寸法は、その家具の用途が決めています。ベッドのサイズはシングル97cm、セミダブル120cm、ダブル140cmという流通している幅で決まり、部屋の短辺からその幅を引いた残りが寝室のすべてになります。ダイニングテーブルは一人あたり幅60cm、椅子を引くのに天板の縁から75cmで、天板より椅子のほうが床を使います。ラグのサイズは部屋ではなく家具の脚を乗せるかどうかで決まり、日本では畳数で聞かれます。
ダイニングテーブルは、天板より床のほうを先に数えます。テーブルに向かう一人分の占有は幅約60cm、奥行き約40cm。4人が2人ずつ向かい合うなら、天板は長辺120cm以上、短辺80cm以上が要ります。床が必要なのはその外側で、椅子を引いて座るには天板の縁から75cm。両側に取ると、短辺方向に要る床は80cmに150cmを足した230cmです。江戸間6畳の短辺264cmから引くと残りは34cmで、そこには何も置けません。6畳にダイニングを入れるかどうかは、この1行で決まります。
ソファだけは、点の数字ではなく幅の範囲で流通しています。人数別の目安は1人掛けで約60〜90cm、2人掛けで140〜160cm、3人掛けで170〜200cm。奥行きは1人掛けで約70〜80cmです。範囲のまま扱うのは、同じ「2人掛け」でも肘掛けの厚みで20cm動くからで、この20cmは通路の判定を通ったり落としたりします。
| ソファ | 幅の目安 | 江戸間6畳の長辺352cmに付けた残り |
|---|---|---|
| 1人掛け | 約60〜90cm | 262〜292cm |
| 2人掛け | 140〜160cm | 192〜212cm |
| 3人掛け | 170〜200cm | 152〜182cm |
1人掛けでも、設置には幅90cm程度の場所が必要とされます。座面の幅そのものではなく、座る人が前に出るぶんと肘掛けの外側を含めた寸法だからです。ソファを置くなら6畳以上が目安、という言い方はこの90cmから来ています。江戸間6畳の短辺264cmに奥行き80cmのソファを付けると、残りは184cm。ここから通路の60cmを引いた124cmが、ローテーブルとテレビまわりで分け合う床です。
ジャパンディや北欧のようなスタイルの選択は、色と素材と比率の話で、寸法とは別に決まります。一人暮らしの一室でも対面キッチンのあるLDKでも、床から引く数字は同じです。手元の部屋で試すなら、この寸法をそのまま家具配置のシミュレーションに入れられます。
高さは床を食わないかわりに、相手の家具を決めます
高さ(H)が決めているのは、置けるかどうかではなく、組み合わせられるかどうかです。ダイニングテーブルの高さは70cm前後が標準、椅子の座面高は40cm前後が一般的で、この2つの差を差尺と呼びます。基準は27〜30cm。テーブルだけ、椅子だけを寸法で選ぶと、この差が基準から外れたまま揃ってしまいます。
| 先に決めるもの | その高さ | 相手側に決まる高さ |
|---|---|---|
| ダイニングテーブル | 70cm前後 | 椅子の座面40cm前後(差尺27〜30cm) |
| ソファ(くつろぐ) | 座面40cm前後 | ローテーブル35〜45cm |
| ソファ(そこで食事もする) | 座面40cm前後 | テーブル67〜70cm |
| システムキッチンのワークトップ | JISで80・85・90・95cm、標準85cm | 目安は身長÷2+5cm |
| 押入れの中段 | 下70〜80cm、上90〜100cm | 入れる収納用品の全高 |
ソファの前に置くテーブルは、この表の2行目と3行目のどちらを取るかで30cm前後変わります。同じ座面40cmのソファでも、くつろぐための35〜45cmと、食事をするための67〜70cmは別の家具です。届いてから高さを直す手段がないので、買う前にどちらかに決めます。ワークトップの5cm刻みだけはJISで定められた規格で、ベッドの幅のような流通上の呼称とは性質が違います。
家具ごとのページが決めるのは、それぞれ1つの選択です。ベッドのページは、97cmから180cmまでの幅のどれを部屋の短辺に入れるか。ソファのページは、幅の範囲のどこを取り、奥行き70〜80cmを通路のどちら側から引くか。ダイニングテーブルのページは、一人あたり幅60cmを何人分並べ、縁から75cmの引き代を何方向に取るか。ラグのページは、家具の脚を乗せるか外すかで、同じ部屋でも2段階違う大きさのどちらを選ぶかです。
寸法を確認できていないもの
寸法を確認できていない家具と部材は、上の表に載せていません。数字を埋めるより、空けておくほうが安全だからです。
- 組み立て用の六角レンチとドライバーの標準サイズ
- シーリングライトの適用畳数と明るさの対応
- テレビボードの標準的な奥行きと、テレビの外形に必要な余裕
テレビの画面寸法だけは計算で出ます。16:9の65型は対角165.1cm、画面の横幅が約144cm、高さが約81cm。160cmや180cmのテレビボードにこの画面が乗るかどうかは、この計算値ではなく本体の外形とスタンドの脚幅で決まります。壁掛けテレビにするなら床の奥行きは要らなくなり、その分が短辺に戻ります。