テイストの違いは、色と素材で決まる
インテリアのテイストは、部屋の色をベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%の3層に分けたうえで、その3層にどの素材とどの色を割り当てるかの違いです。
テイストの名前は、雰囲気ではなく素材の組み合わせを指しています。北欧、ジャパンディ、ナチュラル、インダストリアル、和モダンという5種類は、70%の層がよく似ていて、25%と5%の層で分かれます。どれが好きかを先に決めるより、いま床と壁が何色かを先に測るほうが、テイストは早く決まります。
テイストは、床・壁・天井が占める70%で決まります
床・壁・天井は部屋のなかで最も面積が大きく、色の70%を占めます。賃貸では、この70%が入居前から決まっていて動かせません。テイストを選ぶ作業は、実際には残りの30%をこの70%に合わせる作業です。70%、25%、5%という配分は、インテリアの配色で広く使われている目安です。定めた機関があるわけではなく、面積を数えるための物差しとして使います。
- ベースカラー70%は、床、壁、天井。フローリングの色、壁紙の色、畳の有無で決まります。
- メインカラー25%は、ソファ、ベッド、収納、カーテン、ラグ。買い替えで変えられる層です。
- アクセントカラー5%は、クッションカバー、アートポスター、時計、植物。入れ替えの費用が最も小さい層です。
この3層は、決める順番でもあります。70%を測って書き出し、25%の家具を選び、最後に5%を入れ替えます。5%から決めると、あとから25%が合わなくなります。
5つのテイストを、木と布と仕上げで並べる
テイストの種類を一覧にすると、違いは色名ではなく素材名で出てきます。次の表は、5種類のテイストが3層それぞれに何を置くかを並べたものです。
| テイスト | ベース70% | メイン25% | アクセント5% | 主な木と布 |
|---|---|---|---|---|
| 北欧 | 白い壁と明るい木の床 | 明るい木の家具 | 色を1色だけ | オーク、バーチ、アッシュ、綿とウール |
| ジャパンディ | 白から生成りの壁、木か畳の床 | 濃い木の低めの家具 | 黒 | ウォールナット、オーク、麻 |
| ナチュラル | 生成りの壁と明るい木の床 | 明るい木と籐 | 素材の色のまま | パイン、オーク、籐、麻と綿 |
| インダストリアル | 黒、グレー、無塗装の木 | 鉄と木を組んだ家具 | 鉄の地の色 | 無塗装の木、鉄、革と帆布 |
| 和モダン | 畳と白か砂色の壁 | 床に近い高さの家具 | 黒か藍 | 杉、ヒノキ、ウォールナット、麻 |
北欧とジャパンディとナチュラルは、5%の層で分かれます
北欧とジャパンディとナチュラルの3つは、70%の層がほぼ同じです。白から生成りの壁に明るい木の床という組み合わせで、ここだけを見ても区別がつきません。違いが出るのは5%の層と、家具の数です。
- 北欧インテリアは、明るい木、白い壁、そして一色だけの差し色。5%に色を1色入れます。
- ナチュラルインテリアは、5%にも色を足さず、木、麻、綿の素材の色をそのまま置きます。
- ジャパンディは、北欧の機能と和の余白が重なる部分だけを残し、5%に黒か濃い木を使い、家具の数そのものを減らします。
照明も同じ層で分かれます。北欧とジャパンディはどちらも光源を1つにまとめず、ペンダントライトとスタンドライトのように2灯以上に分けます。器具の色が、北欧では木か白、ジャパンディでは黒になります。インダストリアルは黒とグレーが70%を占めるぶん全体の明度が下がるため、2灯以上が前提になります。
テイスト別のページが決めるのは、それぞれ1つの割り当てです。北欧のページは、5%に入れる1色を何にするか。ジャパンディのページは、5%を黒にしたうえで家具の数をどこまで減らすか。ナチュラルのページは、5%に色を足さずに素材の色のまま置くとき、木と麻と綿をどう並べるか。インダストリアルのページは、暗くなった70%に対して灯りを何灯に分けるか。和モダンのページは、家具を床に近い平面(ソファの座面40cm前後にローテーブル35〜45cm)にそろえるか、椅子の平面(テーブル70cm前後に座面40cm前後)に戻すかです。
賃貸の6畳にソファが入るかどうかも、テイストではなく引き算で出ます。江戸間6畳の短辺は264cm。奥行き80cmのソファを壁に付けると残りは184cm、そこから一人が通る60cmを引いた124cmが、ローテーブルとテレビまわりに残る奥行きです。ローテーブルの高さが35〜45cmでも、奥行きはこの124cmの内側に収める必要があります。テイストによって変わるのはこの124cmに何を置くかであって、124cmという数字そのものはどのテイストでも同じです。
家具をどの高さの平面にそろえるかが、色より先に効きます
部屋の家具は、高さでいうと2つの平面のどちらかに寄ります。1つは椅子の平面で、高さ70cm前後のダイニングテーブルに、座面40cm前後の椅子を合わせたもの。この差を差尺と呼び、基準は27〜30cmです。もう1つは床に近い平面で、座面40cm前後のソファに、高さ35〜45cmのローテーブルを合わせたものです。
| 平面 | 座る高さ | 合わせる天板の高さ |
|---|---|---|
| 椅子の平面 | 椅子の座面40cm前後 | ダイニングテーブル70cm前後(差尺27〜30cm) |
| 床に近い平面(くつろぐ) | ソファの座面40cm前後 | ローテーブル35〜45cm |
| 床に近い平面(そこで食事もする) | ソファの座面40cm前後 | テーブル67〜70cm |
同じ座面40cmのソファでも、くつろぐための35〜45cmと、食事もするための67〜70cmでは30cm前後違います。1つの部屋に両方を置くと、天板の高さが2段になります。和モダンとジャパンディが「低い」と言われるのは、木の色や布の種類ではなく、家具をこの床に近い平面の側にそろえているからです。上の表のどの行を取るかは、70%の層を測ったあと、25%の家具を買う前に決める1回きりの選択になります。
ソファそのものの幅は、1人掛けで約60〜90cm、2人掛けで140〜160cm、3人掛けで170〜200cm。奥行きは1人掛けで約70〜80cmです。1人掛けでも設置には幅90cm程度の場所が要るため、ソファを置くなら6畳以上が目安とされます。江戸間6畳の長辺352cmに3人掛けの200cmを付けると、長辺に残るのは152cm。テイストの名前で先に絞るより、この152cmに何が入るかを先に見るほうが、選択肢は早く減ります。
一人暮らしと賃貸では、テイストより先に面積が決まります
一人暮らしのワンルームでは、テイストを選ぶ前に部屋の寸法が選択肢を削ります。江戸間の6畳は2.64m × 3.52m、面積は9.29m²です。同じ6畳でも京間なら10.94m²、団地間なら8.67m²で、不動産広告の畳表記は地域により最大およそ26%の面積差があります。その差は2.27m²で、江戸間の畳(1畳1.549m²)に直すと約1.5畳分にあたります。
ベッドの幅は、シングル97cm、セミダブル120cm、ダブル140cm、クイーン160cm、キング180cmで、長さはいずれも約195cmです。クイーンにはセミシングル2枚を並べた幅170cmの仕様もあります。江戸間6畳の短辺2.64mにクイーンサイズのベッドを短辺方向に置くと、残りは1.04m。一人が通る60cmを片側に取ると44cmしか残らず、両側に60cmずつは取れません。つまりこの部屋では、ベッドの左右どちらかを壁に寄せる以外の置き方が成立しません。テイストを選ぶより前に、置き方のほうが1通りに絞られています。
賃貸では70%が動かせないため、テイストはメインカラー25%とアクセントカラー5%だけで作ることになります。ラグはメインカラーの側に入りますが、大きさは色より先に通路で決まります。家具の間の通路は最低60cm、目安は60cmから90cmで、ラグはこの通路を家具の下に飲み込まない範囲までです。小さいラグを選ぶ理由は面積ではなく、この通路の確保です。