部屋別のレイアウト:その部屋で最初に決めるもの
部屋のレイアウトは、その部屋でいちばん大きい家具を1つ決め、そこから通路の60cmを引いていく順番で決まります。
どの部屋にも、最後まで置き場所を動かせない家具が1つあります。その1つが壁のどこに付くかで残りの床の形が決まり、あとの家具は、その残りに入るか入らないかだけの問題になります。広い部屋でも順番は変わりません。変わるのは引き算の余りの大きさだけです。
部屋ごとに、最初に決める家具は1つだけです
最初に決める家具は部屋ごとに違い、その家具が持ち込む寸法も違います。リビングのレイアウトはソファとテレビの距離から決まり、寝室のレイアウトはベッドを置いた残りが、そのまま寝室の広さになります。部屋別のページが扱う「最初の1つ」は、次の7つです。
| 部屋 | 最初に決めるもの | それが持ち込む寸法 |
|---|---|---|
| リビング | ソファとテレビの距離 | 4Kパネルで画面高さの約1.5倍が目安 |
| 寝室 | ベッドを付ける壁 | 幅97〜180cm、長さ約195cm |
| ダイニング | テーブル | 縁から75cmの引き代 |
| キッチン | 通路そのもの | 1人で60cm、2人で90cm |
| 玄関 | たたきと上がり框の位置 | 玄関ドアは外開きで、弧は室内の床を使わない |
| 作業スペース | 机を向ける方向 | 机の奥行きに75cmを足した寸法 |
| 和室 | 家具の脚の接地面積 | 押入れの有効奥行き75〜80cm |
ベッドの幅はシングル97cm、セミシングル85cm、セミダブル120cm、ダブル140cm、クイーン160cm、キング180cmで、長さはいずれも約195cmです。これは日本の市場で実際に売られているサイズで、JISのような公的規格ではありません。クイーンにはセミシングル2枚を並べた幅170cmの仕様もあります。
部屋別の各ページが決めるのは、それぞれ1つのことです。リビングは、ソファとテレビの距離を先に取るか、通路を先に取るか。寝室は、ベッドを長辺と短辺のどちらの壁に付けるか。ダイニングは、テーブルの縁から椅子を引く75cmが取れるかどうか。キッチンは、1人で立つ60cmで足りるか、2人で使う90cmが要るか。玄関は、たたきの床のどこまでを下駄箱に渡すか。作業スペースは、机を壁に向けるか窓に向けるか。和室は、畳の上に脚の細い家具を置くかどうかです。江戸間6畳にベッドを置いたあと短辺に残る1.44mの割り方は、寝室の6畳を扱うページの側で計算します。
玄関だけは、扉が室内の床を食いません。日本の住宅の玄関ドアはほとんどが外開きで、欧米の住宅でほとんどを占める内開きとは逆向きです。玄関で靴を脱ぐ習慣(内開きだと脱いだ靴を扉が押します)、玄関の床を有効に使えること、気密の取りやすさが理由として挙げられます。外に開く扉は室内側に弧を描かないので、玄関に置ける奥行きを決めているのは扉ではなく、たたきの奥行きと上がり框の位置です。
「6畳」は面積ではなく、規格の名前です
同じ6畳でも、規格が違えば面積は8.67m²から10.94m²まで変わります。畳の寸法が地域ごとに違うためで、いちばん小さい団地間といちばん大きい京間では、面積差が26%に達します。差は2.27m²、江戸間の畳に直すと約1.5畳分です。
| 規格 | 1畳 | 6畳の実寸 | 6畳の面積 |
|---|---|---|---|
| 京間(本間) | 1.910 × 0.955 m | 2.865 × 3.820 m | 10.94 m² |
| 中京間 | 1.820 × 0.910 m | 2.730 × 3.640 m | 9.93 m² |
| 江戸間(五八間) | 1.760 × 0.880 m | 2.640 × 3.520 m | 9.29 m² |
| 団地間 | 1.700 × 0.850 m | 2.550 × 3.400 m | 8.67 m² |
部屋別のページは、断りがないかぎり江戸間で計算します。関東の物件と全国の賃貸で多く使われている規格だからです。不動産の広告では「帖」と書かれますが、このページは部屋そのものの話なので「畳」と書きます。照明器具の「適合畳数」も同じ問題を抱えていて、表示された畳数がどの規格を指すのかは、表示だけでは読み取れません。
広い部屋は、家具ではなく通路から割り付けます
広い部屋のインテリアで先に決めるのは、家具ではなく通路の位置です。江戸間の10畳は3.52 × 4.40m、面積15.49m²、18畳なら27.88m²あり、壁際に家具を並べるだけでは中央が余ります。余った床を「歩く帯」として先に取り、その両側に家具の島をつくると、広いリビングダイニングでも動線が交差しません。
- 通路を先に引く。1人が通るなら60cm、2人がすれ違うなら90cmを取ります。
- 家具を背中合わせにして島をつくる。ソファの背とダイニングの椅子が同じ帯を取り合わないようにします。
- 正方形の部屋では対角線を空ける。江戸間の8畳は3.52 × 3.52mの正方形で、四辺に等しく家具を置くと中央が使えなくなります。
- 子供部屋では床を空ける。机とベッドを2辺に寄せ、残りをひとつながりの床として残します。
収納がない部屋では、家具の奥行きが収納量を決めます
収納のない部屋で使える寸法は、押入れとクローゼットの有効奥行きです。押入れは間口が半間で約91cm、有効奥行きが75〜80cm、中段の下が高さ70〜80cm、上が90〜100cmです。クローゼットは柱芯で約68cm、有効で60cm強しかありません。この2つがない部屋では、同じ奥行きの家具を壁に沿わせて代わりにします。奥行き75cmの棚を壁一面に置けば押入れ1間分に近づきますが、その分だけ部屋の短辺が75cm縮みます。江戸間6畳の短辺2.64mなら、残りは1.89mです。
立って使う部屋では、床ではなく高さが答えになります
キッチンとダイニングは、床の残りより先に天板の高さで決まります。システムキッチンのワークトップの高さはJISで80cm、85cm、90cm、95cmと5cm刻みに定められていて、標準は85cmです。畳やベッドと違い、これは公的な規格として決まっている数字です。使いやすい高さの目安は「身長÷2+5cm」で、身長160cmなら85cm、170cmなら90cmになります。
| 使うもの | 高さ | 相手側に決まる寸法 |
|---|---|---|
| システムキッチンのワークトップ | JISで80・85・90・95cm、標準85cm | 身長÷2+5cm |
| ダイニングテーブル | 70cm前後 | 椅子の座面40cm前後、差尺27〜30cm |
| ソファ(くつろぐ) | 座面40cm前後 | ローテーブル35〜45cm |
| ソファ(そこで食事もする) | 座面40cm前後 | テーブル67〜70cm |
| 押入れの中段 | 下70〜80cm、上90〜100cm | 入れる箱の高さ |
差尺とは、テーブルの高さから椅子の座面高を引いた数字です。27cmから30cmが基準で、これより小さいと腿が天板に当たり、大きいと肩が上がります。椅子を買い替えるときに見るのは椅子単体の高さではなく、いま使っている天板との差のほうです。賃貸ではワークトップの高さを動かせないため、身長との差は足元に置く台か、まな板の厚みで埋めることになります。
家具配置は、アプリの前に5つの寸法を測ります
家具配置のシミュレーションは、部屋の寸法を先に測ってから始めます。作図サイトやアプリに入力する値も、方眼紙に描く値も同じです。測る順番は次のとおりです。
- 測る。壁から壁までの内法寸法を、床面と腰の高さの2か所で測ります。
- 書き込む。窓の幅と下端の高さ、扉の幅と開く向きを平面図に入れます。
- 引く。扉と引き出しが開く分の床を、置けない床として消します。開き戸の手前に何cm要るかの一般値は取れていないので、扉の幅を実測して、その幅ぶんの弧を図に描いて消します。
- 置く。いちばん大きい家具を1つだけ置きます。
- 残りを測る。残った床から通路の60cmを引いた寸法が、他の家具に使える奥行きです。
この5つが決まれば、1つの部屋でも、寝室と居間と仕事場を分ける2LDKのレイアウトでも、判断の材料は同じになります。部屋が増えても引き算の回数が増えるだけで、引く数字は変わりません。江戸間で数えると、6畳が9.29m²、8畳が12.39m²、10畳が15.49m²。2LDKで居室を割り振るとき、どの部屋に幅140cmのダブルを入れ、どの部屋に通路を2本通すかを決めているのは面積ではなく、それぞれの短辺の長さです。江戸間の6畳と4.5畳は短辺がどちらも2.64m、8畳と10畳はどちらも3.52mで、面積が違っても引き算の出発点は同じになります。