和室:畳を傷めずに家具を置くための重さと面積
和室のインテリアで家具を置けるかどうかは、重さではなく畳に触れている面積で決まり、4cm角の脚が4本の家具なら、接地面は合計64cm²しかありません。
畳はい草を編んだ表と、その下の床(とこ)でできた面材で、荷重を広い面で受けるようにできています。点で押されることには向いていません。和室のインテリアで最初に決めるのは、家具の色でも配置でもなく、その家具が畳を押す面積です。他の部屋が通路の幅から決まるのに対し、和室だけは家具の脚の裏から決まります。
和室で最初に決めるもの
同じ家具でも、脚の下に板を敷くだけで畳にかかる面圧は桁が変わります。重さ60kgの家具を4cm角の脚4本で支えると、接地面積は64cm²、1cm²あたり約0.94kgです。同じ家具の脚の下に15cm角の板を4枚敷くと、接地面積は900cm²になり、1cm²あたり約0.067kgまで下がります。面積は14倍、力は14分の1です。
| 脚の下 | 4本合計の接地面積 | 60kgのときの面圧 |
|---|---|---|
| 4cm角の脚のまま | 64 cm² | 約0.94 kg/cm² |
| 8cm角の板を敷く | 256 cm² | 約0.23 kg/cm² |
| 10cm角の板を敷く | 400 cm² | 約0.15 kg/cm² |
| 15cm角の板を敷く | 900 cm² | 約0.067 kg/cm² |
敷布団とベッドの差も同じ理屈です。シングルの敷き寝具が畳に触れる面積は97 × 195cmで18,915cm²、4本脚のベッドは64cm²。同じ体重でも、畳が受ける1cm²あたりの力はおよそ300倍違います。
和室のレイアウト:何をどこに置くか
和室の広さは畳の枚数で表されますが、その畳の寸法は地域ごとに違います。関西や中国、九州で使われる京間は1畳が1.910 × 0.955m、東海と北陸の中京間は1.820 × 0.910m、関東と全国の賃貸で多い江戸間は1.760 × 0.880m、公団やアパートの団地間は1.700 × 0.850mです。同じ6畳でも、京間の10.94m²と団地間の8.67m²では26%違います。
| 畳数 | 江戸間の実寸 | 江戸間の面積 | 京間の面積 |
|---|---|---|---|
| 3畳 | 1.76 × 2.64 m | 4.65 m² | 5.47 m² |
| 4.5畳 | 2.64 × 2.64 m | 6.97 m² | 8.21 m² |
| 6畳 | 2.64 × 3.52 m | 9.29 m² | 10.94 m² |
| 8畳 | 3.52 × 3.52 m | 12.39 m² | 14.59 m² |
純和室の6畳に家具を置くとき、江戸間なら短辺は2.64mです。テーブルを1つ置いて周囲に1人が通る60cmを残すなら、テーブルの奥行きは1.44mまで取れます。同じ計算を団地間の2.55mでやると1.35mまでで、9cm縮みます。
和室に置く家具と、その寸法
和室の収納は押入れで、洋室のクローゼットとは寸法がまったく違います。押入れは間口が半間で約91cm、奥行きの有効寸法が75〜80cm。折りたたんだ布団を収めるための寸法です。中段の下は高さ70〜80cm、上は90〜100cm。クローゼットは柱芯で約68cm、有効で60cm強しかありません。
- 比べる。押入れの有効奥行き75〜80cmは、クローゼットの60cm強より15cm以上深い寸法です。
- 使い分ける。奥行きの深い押入れは、手前と奥の2列で使わないと奥が死にます。
- 測る。中段の高さを実測してから、入れる箱の高さを決めます。
- 空ける。襖を引く分は床を取りませんが、開き戸の収納を足すなら手前に90cmが要ります。
収納家具を足す場合も、脚の接地面積の話は変わりません。奥行き75cmの棚を押入れの代わりに壁に置けば、江戸間6畳の短辺2.64mから75cmが減り、残りは1.89mになります。
和室の通路幅と動線
床の間の前は、家具を置かず通路として空けます。1人が通る60cmを確保すれば、床の間の正面から見る位置も確保できます。小上がりのある和室では、段差の上と下で床の高さが変わるため、上がる場所の手前に立つ床が要り、その帯にも60cmを見ます。和モダンでも大正ロマンでもレトロでも、名前のついた方向性を選んだところで、この60cmは変わりません。
和室に椅子とテーブルを置く場合、注意する寸法は2つです。1つは椅子を引いて座るためのテーブルの縁から75cm。もう1つは、椅子の脚が前後に動くことです。椅子は座るたびに脚が畳の上を滑るため、同じ位置に食い込み続けます。脚の下に板か厚手の敷物を1枚入れると、接地面積が増えるだけでなく、動く範囲も畳から切り離せます。和室を寝室として使う場合も同じで、ベッドを置くなら脚の下、敷布団なら畳に直接という違いが、そのまま畳の傷み方の違いになります。
和室がキッチンと隣り合うとき
和室がキッチンと直接つながる間取りは多くありません。起きるとすれば、ダイニングキッチンの奥に和室が続き、襖や引き戸1枚で仕切られている形です。このとき効いてくるのは畳そのものではなく、キッチンから続く通路が畳の上に乗ることです。
通路に要る寸法は洋室と同じで、1人が通るなら60cm、2人がすれ違うなら1人が横を向いて90cmです。江戸間6畳の短辺2.64mを入口側に取る場合、90cmを引いた残りは1.74mで、そこが座る場所と家具に使える奥行きになります。畳は列で並んでいるため、通路をどの列に重ねるかを先に決めれば、擦れる範囲を1列に集められます。
和室でよくある失敗
和室でいちばん多い失敗は、洋室で使っていた家具をそのまま畳の上へ移すことです。4cm角の脚が4本なら接地面積は64cm²で、15cm角の板を4枚敷いた場合の900cm²に対して14分の1しかありません。跡が残ってから板を敷いても、へこんだ畳は戻りません。置く前に脚の裏を測る、という順番だけが効きます。
もう1つは、畳数の表記だけで家具を決めることです。同じ6畳でも短辺は団地間の2.55mから京間の2.865mまで31.5cm開きます。奥行き1.44mの座卓は、江戸間の2.64mなら両側に60cmずつ残りますが、団地間の2.55mでは両側55.5cmずつで、1人が通る60cmに届きません。畳の枚数ではなく、壁から壁までを測ってから引き算します。