インダストリアル:鉄、無塗装の木、そして黒でまとめる
インダストリアルインテリアは、鉄、無塗装または古材の木、そして黒という3つの素材でベースカラー70%とメインカラー25%を占め、明度が下がるぶん照明を2灯以上に増やすテイストです。
インダストリアルは、素材を工場や倉庫の側から選びます。塗り重ねて隠す仕上げではなく、鉄なら地の色、木なら木口や節をそのまま出す仕上げです。5テイストのなかで唯一、ベースカラー70%に暗い色が入るため、色の配分と同じくらい光源の数が結果を決めます。
インダストリアルとは何か
鉄と無塗装の木と黒、この素材3つと金属1種類が骨格です。金属を1種類に固定するのが要点で、黒い鉄に真鍮やステンレスを混ぜると、25%の層が3色に割れます。鉄で通すなら、脚、棚受け、照明の器具、取っ手まで同じ黒い鉄でそろえます。
木は塗らない側を選びます。無塗装、または古材のように表面が荒れたものです。北欧インテリア:明るい木、白い壁、そして一色だけの差し色が明るい木を1種類にそろえるのに対し、インダストリアルは木の色ムラや節を残したまま使います。木の明るさを落とさなくてよい点は、賃貸の明るいフローリングでも成立する理由になります。
部屋をインダストリアルにしているもの(色と素材の配分)
黒の置き場所は2通りで、部屋の明るさが変わります。70%、25%、5%という配分は、インテリアの配色で広く使われている目安です。壁の1面を黒かグレーにして70%の側に入れる方法と、壁は白のまま家具の骨組みだけを黒にして25%に収める方法です。賃貸では前者が使えないため、後者が既定になります。
| 層 | 置くもの | インダストリアルでの扱い |
|---|---|---|
| ベース70% | 床、壁、天井 | 無塗装の木の床。壁は白かグレー。黒い壁は1面まで |
| メイン25% | 棚、テーブル、ソファ、カーテン | 鉄の骨組みと木の天板。布は革か帆布 |
| アクセント5% | 照明の器具、金物、時計 | 鉄の地の色。色は足さない |
窓とカーテンは、明度を決める最後の変数です。黒やチャコールのカーテンは、閉めているあいだ70%の暗い面をさらに増やします。壁を白のまま残す配置では、カーテンも白かグレーにして、黒は家具の骨組みと金物に集めるほうが、日中の明るさが落ちません。
インダストリアルとナチュラルインテリアは、木を塗らないという1点で重なります。どちらも無塗装かオイル仕上げまでで止め、シート貼りの木目は使いません。分かれるのは、そこに金属と黒を入れるかどうかです。ナチュラルが麻と綿で軽さを作るのに対し、インダストリアルは革と帆布で重さを作ります。
この重なりは、テイストを移すときに使えます。ナチュラルの部屋を作ってから、脚と棚受けを黒い鉄に替え、布を革か帆布に替えると、70%を替えずにインダストリアルに寄ります。逆方向も同じ手順です。
インダストリアルで置く家具と、その寸法
鉄脚のテーブルを使うダイニングでは、天板の大きさを人数から出します。テーブルに向かう一人分の占有は、幅約60cm × 奥行約40cmです。4人なら幅240cmが必要になります。座るにはテーブルの縁から75cm、椅子に座った人の後ろをまっすぐ歩くなら90cmが要ります。鉄の脚は木の脚より細く見えますが、必要な通路の幅は変わりません。
高さの基準は、脚が鉄でも木でも変わりません。ダイニングテーブルの高さは70cm前後、椅子の座面は40cm前後で、その差である差尺の目安は27cmから30cmです。ソファの座面も40cm前後で、合わせるローテーブルの高さは35cmから45cm。同じソファで食事をするなら67cmから70cmに上げます。ソファの幅は1人掛けが約60cmから90cm、2人掛けが140cmから160cm、3人掛けが170cmから200cm、奥行きは1人掛けで約70cmから80cmです。いずれも範囲で示される目安で、鉄の脚が細く見えても外寸はこの範囲のまま変わりません。
インダストリアルが向く広さと、向かない広さ
江戸間の6畳は2.64m × 3.52m、面積は9.29m²です。1人掛けのソファでも設置には幅90cm程度が必要で、ソファを置くなら6畳以上が目安になります。4人で使う鉄脚のダイニングなら、一人分の占有が幅約60cmですから天板の幅は240cm。江戸間6畳の長辺3.52mに沿って置くと、幅の方向に残るのは1.12mです。
向かないのは、短辺の側に長い家具を並べる配置です。江戸間6畳の短辺2.64mに3人掛けの200cmを置くと、残るのは64cm。大人1人が通る60cmは残りますが、物を持って歩く75cmは取れません。黒とグレーと無塗装の木は光を返さないため、通路が狭い部屋ほど光源の数で補う必要が出ます。
玄関は、このテイストが最も成立しやすい場所です。面積が小さく、たたきの土間と金属の手すりという素材がもともと工場側にあるためです。玄関に置くのは、鉄脚のベンチかシューズラックの1点まで。
インダストリアルでよくある失敗
失敗の内訳は3か所に集中します。明るさ、ラグのサイズ、そして通路です。
- 明るさは、天井の1灯だけで済ませたときに落ちます。黒とグレーと無塗装の木は光を返さないため、天井灯にスタンドライトかブラケットを足して2灯以上にします。
- ラグは、サイズを先に決めると失敗します。家具の間の通路は最低60cm、目安は60cmから90cmで、ラグはこの通路を侵さない範囲まで。濃色のラグは床の暗い面積をさらに増やすため、床が濃い部屋では敷く面積を減らします。
- 通路は、鉄脚の家具で狭くなります。鉄の脚は木より細く見えますが、外寸は変わりません。物を持って歩く動線には75cm、2人がすれ違う場所には90cmを確保します。
照明を2灯以上にするという判断は、テイストの好みではなく素材の反射の問題です。同じ配分でも、ジャパンディ:北欧の機能と和の余白が重なる部分だけを残す側は70%が白から生成りなので、灯数を増やす理由が薄くなります。