収納:入れ物を買う前に、置き場所を決める
収納のアイデアは、押入れなら有効奥行き75〜80cm、クローゼットなら有効60cm強という、置き場所の実寸から決まり、部屋のレイアウトはその残りで決まります。
入れ物を先に買うと、この2つの数字のどちらにも合わない箱が手元に残ります。押入れの奥行きに合わせた箱はクローゼットで15cm以上はみ出し、クローゼットに合わせた箱は押入れの奥に15cm以上の隙間を作ります。順番を逆にして、置き場所を測ってから箱の外寸を決めると、この差は起きません。
最初に測る3つの寸法と、扉の開き代
最初に測るのは、置き場所の幅、奥行き、高さの3つです。ただし、この3つだけでは足りません。扉と引き出しが開く前面の空きを、4つ目として測ります。
- 内寸の幅を、いちばん狭い高さの位置で測ります。
- 奥行きを、扉の内側から奥の壁まで測ります。
- 高さを、棚板や中段で区切られた段ごとに測ります。
- 前面の空きを測ります。扉の幅と、引き出しがいちばん深いときの引き出し量を、そのまま床に写します。
4つ目を落とすと、箱は入るのに扉が閉まらない、あるいは引き出しが半分しか引けない、という結果になります。前面に何cm残るべきかの一般値は取れていないため、扉幅ぶんの弧を平面図に描いて確かめます。そのうえで、そこが通り道でもあるなら通路の数字が重なります。大人が1人通るのは60cm、物を持って歩くなら75cm、2人がすれ違うには1人が横向きになって90cmです。
押入れとクローゼットは、別の寸法でできている
押入れとクローゼットは、見た目が似ていても寸法の成り立ちが違います。押入れは折りたたんだ布団を入れるための寸法で、クローゼットはハンガーに掛けた服のための寸法です。
| 項目 | 押入れ | クローゼット |
|---|---|---|
| 間口 | 半間、約91cm | 物件ごとに異なる |
| 奥行き | 有効75〜80cm | 柱芯で約68cm、有効60cm強 |
| 内部の区切り | 中段の下70〜80cm、上90〜100cm | ハンガーパイプ |
| 元になった収納物 | 折りたたんだ布団 | ハンガーに掛けた衣類 |
この15〜20cmの差が、収納のアイデアが場所ごとに変わる理由です。押入れは奥行きがあるぶん奥が死にやすく、手前と奥で使い方を分ける必要があります。クローゼットは奥行きが浅いぶん奥は死にませんが、ハンガーパイプの上と下に空きが残ります。それぞれの使い切り方は、押入れとクローゼットのページで別に扱います。
押入れは、中段の上と下で入るものが変わります
押入れの中に入る高さは、中段をはさんで上と下で違います。中段の下は70〜80cm、上は90〜100cm。同じ押入れでも、上の段のほうが10〜20cm高いということです。奥行きはどちらの段も有効75〜80cmで変わらず、間口は半間の約91cmです。
| 段 | 高さ | 有効奥行き | 間口 |
|---|---|---|---|
| 押入れ 中段の下 | 70〜80cm | 75〜80cm | 半間、約91cm |
| 押入れ 中段の上 | 90〜100cm | 75〜80cm | 半間、約91cm |
| クローゼット | ハンガーパイプで上下に分かれる | 60cm強(柱芯で約68cm) | 物件ごとに異なる |
この3行から出る判断は2つです。1つ目、全高70cmを超える収納用品は中段の下に入りません。上の段なら90cmまでで、扉のレールをよけるぶんを見ると85cm前後が実際の上限になります。2つ目、奥行きの使い方です。奥行き35cmの箱なら前後に2つ並べて70cm、有効75〜80cmの中にまだ5〜10cm余ります。奥行き45cmの箱を1つ置くと、後ろに30〜35cmが残り、そこは手の届かない空間になります。前後2列で使うか、手前1列だけを使って奥を空けたまま扱うかは、この時点で決まります。
クローゼットの有効60cm強は、ハンガーに掛けた服の肩幅のための寸法です。押入れの75〜80cmとの差は15〜20cm。押入れ用の引き出しをクローゼットに移すと前が15〜20cm出て扉が閉まらず、逆にクローゼット用をそのまま押入れに入れると奥に同じだけの隙間が残ります。同じ「収納ケース」でも、この2つは別の寸法系です。
場所ごとに、決め手になる寸法は違う
場所ごとに違うのは、入れ物ではなく、どの寸法が決め手になるかです。同じ「収納が足りない」でも、玄関では靴の高さ、キッチンではシンク下の奥行き、リビングでは扉の開き代が効いてきます。
| 場所 | 決め手になる寸法 | 測る場所 |
|---|---|---|
| 玄関 | 1足分の高さ | いちばん背の高い靴の甲まで |
| キッチンのシンク下 | 排水管をよけた奥行き | 扉の内側から配管の手前まで |
| キッチンカウンターの上 | 吊戸棚の下端までの高さ | 天板から吊戸棚の下端まで |
| リビング | 扉と引き出しの開き代 | 家具の前面から通路側へ |
| トイレ | 便器から壁までの空き幅 | いちばん狭い位置で |
| 衣類・タオル | 畳んだ状態の高さ | 実際に畳んで積んだ高さ |
| 書類・小物 | いま使っている箱の外寸 | ふたを含めた外側 |
| 食品や洗剤のストック | 1本の高さと、並べる本数 | 立てた状態の全高 |
| 水筒 | 立てた高さと、寝かせた直径 | ふたを付けた状態で |
ゲーム機とソフト、裁縫道具、リモコン、ウォーターサーバーの替えボトルも、決め方は同じです。いま使っているものの外寸を測り、それが入る段の高さを確保します。棚板の位置を動かせる棚なら、この高さの調整が後からききます。
タオルや衣類のように畳むものは、畳み方を先に決めます。同じタオルでも、三つ折りと四つ折りでは高さも幅も変わるので、畳み方を変えるだけで1段に入る枚数が変わります。ここで測るのは製品としての寸法ではなく、自分が畳んだ状態の寸法です。
買う前に決める順番
買う前に決める順番は4つで、入れ物を選ぶのはいちばん最後です。
- 置き場所の内寸と、扉の開き代を測ります。
- そこが通り道なら通路の60cmを引き、扉が開く弧の分を実測して引きます。
- 中に入れるものの高さと、積む段数を測ります。
- 残った寸法に収まる外寸の箱を選びます。
この順番だと、箱は「入るもの」の中からしか選べません。逆順にすると、選択肢は広いかわりに、入らないものが混じります。
収納がない部屋の場合
収納がない部屋では、家具そのものが収納になります。ワンルームで押入れもクローゼットもない場合、床に置いた棚の奥行きがそのまま部屋の幅から引かれます。奥行き45cmの棚を壁一面に置けば、部屋の短辺は45cm短くなり、江戸間6畳の2.64mであれば残りは2.19mです。ここから通路の60cmを引くと、反対側に置ける家具の奥行きは1.59mまでになります。棚を壁一面ではなく2つに分けて向かい合わせに置けば、通路は1本で足ります。奥行き45cmを両側で足すと90cm、江戸間6畳の短辺264cmから引いて174cmが通路として残り、2人がすれ違う90cmを大きく上回ります。同じ収納量でも、通路の本数が減るぶん床が残ります。
収納場所ごとのページが決めるのは、それぞれ1つのことです。押入れのページは、有効奥行き75〜80cmを前後2列で使うか、手前1列にして奥を季節ものに回すか。クローゼットのページは、有効60cm強のうちハンガーパイプの下に残る高さを、何段の引き出しに割るか。階段下のページは、天井が斜めに下がっていくぶんを、どの高さで区切って別の用途にするか。台所のページは、ワークトップの高さ(JISで80・85・90・95cm、標準85cm)を境に、上と下のどちらへ何を寄せるかです。ワークトップの高さだけは公的な規格として決まっている数字で、押入れの75〜80cmのような一般的な目安とは性質が違います。
どの部屋のどの壁を収納に使うかは、部屋別のレイアウトの側の判断になります。車内の収納は、寸法の取り方は同じでも対象が部屋の外にあるため、ここでは扱いません。