インテリアとは:部屋の中身を、順番に決める
インテリアとは、部屋の内側にあるもの全体、つまり床・壁・天井の仕上げ、家具、照明、布、小物という5つの層のことで、これを決める順番は、測る、大きい家具を置く、通路を残す、色を決める、物を置く、の5段階です。
インテリアは中身、間取りは枠です。間取りとは、居室の数と配置を図面上で表したもので、1K、1DK、1LDKといった表記は、居室の数とキッチンの区分を示します。枠は入居後には変えられませんが、中身は5段階の順番で決め直せます。順番が逆になったときだけ、決め直しが効かなくなります。
インテリアは、5つの層でできています
5つの層は、動かしにくい順に並びます。動かしにくい層ほど先に決まっていて、あとから調整できるのは下の層だけです。
- 床・壁・天井の仕上げ。フローリング、壁紙、畳。賃貸では入居時に決まっています。
- 家具。ベッド、ソファ、テーブル、収納。部屋の面積を最も大きく使う層です。
- 照明。天井の器具、スタンドライト、ペンダントライト。灯数と位置で部屋の明るさが変わります。
- 布。カーテン、ラグ、クッションカバー。面積が大きく、買い替えが効きます。
- 小物。器、時計、アートポスター、植物。入れ替えの手間が最も小さい層です。
この5つのうち、面積で見ると1と2で部屋のほとんどが決まります。インテリアを考えるという作業の実体は、上の2層を測ることであり、色を選ぶことではありません。
色から始めると、最後に家具が入りません
色から始める進め方は、決め直しの効かない層を最後に回すことになります。壁紙の色やテイストの名前を先に決め、それに合う家具を探し、届いてから寸法が合わないと分かる、という順序です。家具は返品や交換の手間が最も大きい層で、しかも部屋の面積を最も大きく使います。
順番を守る進め方は、次の5段階です。
- 測る。壁の長さ、天井高、窓と扉の位置と幅、コンセントと照明の位置を書き出します。
- 置く。ベッドやソファなど、最も大きい家具を平面図の上で先に置きます。
- 残す。家具を置いたあとに残る幅が通路です。ここを削らないことを条件にします。
- 決める。色を70%、25%、5%の3層に割り当て、素材を2つに絞ります。
- 足す。小物を最後に置きます。ここだけは何度でもやり直せます。
最初に測るのは、壁の長さと畳の規格です
測る作業でつまずくのは、畳の枚数を面積だと思ったときです。畳サイズとは何かというと、地域ごとに複数の規格が並列で存在する寸法体系のことで、JIS A 5901でも複数の規格が認められています。1畳は京間955 × 1910mm、中京間910 × 1820mm、江戸間880 × 1760mm、団地間850 × 1700mmです。
| 規格 | 1畳 | 6畳の寸法 | 6畳の面積 |
|---|---|---|---|
| 京間 | 0.955 × 1.910m | 2.865 × 3.820m | 10.94m² |
| 中京間 | 0.910 × 1.820m | 2.730 × 3.640m | 9.93m² |
| 江戸間 | 0.880 × 1.760m | 2.640 × 3.520m | 9.29m² |
| 団地間 | 0.850 × 1.700m | 2.550 × 3.400m | 8.67m² |
不動産広告の畳表記には、地域により最大およそ26%の面積差があります。同じ6畳でも8.67m²から10.94m²まで開くので、家具が入るかどうかは畳数からは分かりません。規格が分からない部屋では、壁から壁までをメジャーで測った実寸を使います。
間取りの表記にも、畳数の基準があります。不動産の表示に関する公正競争規約では、DKは1居室で4.5帖以上、2居室以上で6帖以上、LDKは1居室で8帖以上、2居室以上で10帖以上とされています。これは広告表示の規約であって、建築の基準ではありません。しかもこの規約は1帖を1.62m²として数えるため、江戸間の1畳1.549m²とは別の数字です。広告の帖数と、部屋を測った実寸は、混ぜずに別々に扱います。
| 表示 | 居室が1つの場合 | 居室が2つ以上の場合 |
|---|---|---|
| DK | 4.5帖以上 | 6帖以上 |
| LDK | 8帖以上 | 10帖以上 |
この表から読み取れるのは下限だけです。1LDKと書かれていればLDKは8帖以上ですが、8帖なのか14帖なのかは表記からは分かりません。規約は「これ未満をLDKと呼んではいけない」と決めているだけで、部屋の広さそのものを決めてはいないからです。だから間取りの記号は、部屋の中身を決める作業の入口にはなっても、寸法の代わりにはなりません。
大きい家具を置いたあと、残った幅が通路になります
通路は、家具を置いたあとに残った幅のことです。先に確保する数字ではなく、置き方が成立するかどうかを判定する数字として使います。
| 用途 | 必要な幅 |
|---|---|
| 大人1人が通る | 60cm |
| 物を持って歩く | 75cm |
| 大人2人がすれ違う(1人が横向きになる) | 90cm |
| 家具と家具のあいだ(最低/目安/理想) | 60cm/60〜90cm/75cm以上 |
| いすを引いて座る(テーブルの縁から) | 75cm |
| いすを引いて、その後ろを横歩きで通る | 75cm |
| いすに座った人の後ろをまっすぐ歩く | 90cm |
| テーブルに向かう1人分の占有 | 幅60cm × 奥行40cm |
この表にベッドの横や開き戸の前の行がないのは、忘れているからではありません。よく引かれる数字はありますが、出典を確認できていないので置いていません。扉の前は、扉幅を実測して、その幅ぶんの弧を平面図に描いて消すほうが確かです。
判定の例を1つ。江戸間の6畳は2.64m × 3.52mです。ここにセミダブルのベッド、幅120cm、長さ約195cmを長辺に沿って置くと、短辺に残るのは1.44m。通路の60cmを引くと、反対側に置ける家具の奥行きは84cmまでです。クローゼットの有効な奥行きは60cm強、押入れの奥行きの有効寸法は75cmから80cmなので、この84cmは収納の前に立つ余地とほぼ同じ幅です。
家具の層は、床の残りより先に高さがそろっているか
家具の層でもう1つ効くのは、床を食わない寸法、つまり高さです。ダイニングテーブルの高さは70cm前後が標準、椅子の座面高は40cm前後が一般的で、この差を差尺と呼びます。基準は27〜30cm。テーブルと椅子を別々に寸法で選ぶと、どちらも標準なのに差尺だけが外れる、ということが起こります。
| 先に決まっているもの | その高さ | 相手側に決まる高さ |
|---|---|---|
| ダイニングテーブル | 70cm前後 | 椅子の座面40cm前後(差尺27〜30cm) |
| ソファ(くつろぐ) | 座面40cm前後 | ローテーブル35〜45cm |
| ソファ(そこで食事もする) | 座面40cm前後 | テーブル67〜70cm |
| システムキッチンのワークトップ | JISで80・85・90・95cm、標準85cm | 目安は身長÷2+5cm |
ワークトップの5cm刻みだけは、JISで定められた規格です。畳の規格やベッドの幅と違い、こちらは公的に決まっている数字なので、身長160cmなら85cm、170cmなら90cmという目安がそのまま当たります。賃貸では作り付けの高さを動かせないため、身長との差は足元の台か、まな板の厚みで埋めることになります。
ソファの前のテーブルは、上の表の2行目と3行目のどちらを取るかで30cm前後変わります。座面40cm前後のソファに35〜45cmを合わせた部屋と、67〜70cmを合わせた部屋は、床から見た平面が別のところにあります。どちらかに決めてから買うと、部屋の高さは1枚の平面にそろいます。
色と素材は、5段階の4番目です
色は、面積の比率で決めます。ベースカラー70%が床・壁・天井、メインカラー25%が家具とカーテン、アクセントカラー5%が小物です。この配分は、インテリアの配色で広く使われている目安です。テイストの名前は、この3層に何を割り当てるかの型に付いた呼び名で、北欧、ナチュラル、インダストリアル、和モダン、そしてジャパンディがあります。ジャパンディとは、北欧の機能と和の余白が重なる部分だけを残し、5%に色ではなく黒を置く型のことです。
素材は2つまでに絞ります。木と布、木と金属、といった組み合わせで、3つ目を足すたびに部屋の統一は難しくなります。色を3つ、素材を2つという数え方を1つずつの手順に落とす作業は、インテリアコーディネートのページの側で扱います。そこで決まるのは、いま床と壁が何色かを書き出したあと、25%の家具を買い替えるのが先か、5%の小物を入れ替えるのが先かという順番です。占める面積が25%と5%で5倍違うので、やり直したときに部屋の見え方が動く量も5倍違います。